むかし、うつ病で苦しんでいた時は、すぐに頑張りたくなっていた。様々なことに頑張ることで症状がより悪化することは分かっているのだが、気がつくと頑張っている、そんな状態だった。
では、頑張りたくなる背景にあるものは何か。何がその欲望を突き動かしているのか。
それはやはり自分自身に対する欠落感だ。頑張ることで周りから認めてもらって、その欠けている部分を満たしたい。その欲望が強いために、休もうとしてもつい頑張ってしまうというスパイラルに陥っていた。
これはよくよく観察してみると、完全なる機能不全だ。そのままの状態では欠けていて不安なので、頑張ってそれを満たそうとするけれど、それが満たされることはなくさらなる苦しみがやってくる。これは機能不全以外の何物でもない。なので、まずはこの仕組みに気づくことが大切だ。気づくことでこのパターンから力が取り除かれ、徐々に消えていく。
ただ、このパターンはすぐには消えない。すぐに頑張りたい欲求が沸き上がってくる。そこで、はじめのうちは「頑張らないことを頑張ってみる」のもいいかもしれない。そして、その頑張りの中で自分の内面を見つめ、欠けている自分がどうなるか観察してみる。
そうすると、頑張っていないのに存在している自分、頑張っていないのに重荷から解放されてスッキリしている自分に気づくかもしれない。その気づきが変化を促していく。
最後になるが、「頑張る=悪い」というわけではない。何かに打ち込んで頑張るのはとても意義あることだと思う。ただそれも周りから見て頑張っているように見えて、本人は頑張っているという意識もなくただ打ち込んでいるだけかもしれないが。
ここで書いているのは、頑張って欠落感を埋めようとすることは機能不全だということだ。頑張ることが苦しみにつながっているのなら、何かが間違っているのかもしれない。そのため、頑張るといういつものパターンに逃げずに気づきを深めることも大切だと感じる。